当サイトは住宅ローンに関する話題がメインですが、住宅ローンが気になる方は当然住宅そのもの(間取りや性能など)の話題にもご興味があるかと思います。
そこで、過去に私が注文住宅を建てる際に悩んだ点・こだわった点や、実際に建てて住んでみた感想や、想定と違ったことなどをたまに書いていきたいと思います。これから家を建てようと思っている方の一助となれば幸いです。私は住宅建築のプロではありませんので、あくまでも素人の一つの意見として参考になさってください。
今回は気密断熱について書きます。
気密断熱は大事
最近は住宅の高気密・高断熱の重要性がだいぶ世間に浸透してきたように思います。昔の日本の家は断熱材もなく隙間も多くスカスカで寒かったものですが、最近の家は隙間をできるだけ少なくした高気密、そして壁の中などに断熱材をしっかり入れた高断熱の家が基本です。
国もようやくそちらの方向を重視するようになってきており、今後は断熱等級6以上を目標に家を建てるといいでしょう。
実際どこまで断熱にこだわれば良いか
もちろん高断熱であればあるほど良いです。基本的には。快適な家(熱が外部から入りにくいので夏は涼しくなり、内部の熱も外に逃げにくくなるので冬は暖かくなります)になります。
私も家を計画中は「断熱ノイローゼ」と言ってもいいくらい気密断熱が気になるようになり、窓も高性能なYKKAPのAPW 430(樹脂枠+トリプルガラス)にしたり、断熱材に何を使うのかにこだわったりなどしました。
しかし実際に住んでみて思ったのは、断熱を気にしすぎて他のことを犠牲にしたらマイナスになることも多い、ということです。
窓のサイズや数を減らすのはメリットもデメリットもある
たとえば、気密・断熱性を上げたいなら単純に窓の数を減らすことは有効です。どんなに高性能な窓でも、断熱材入りの壁よりは劣ります。だから窓のサイズをなるべく小さく、設置数もなるべく少なくすれば、単純に気密断熱の性能は上がっていきます。壁の部分が増えれば耐震性の面でもプラスだから、いいこと尽くめ。私はそう思って、設計した建築士さんから提案されたよりも窓の数を減らしたり、サイズを小さくしたりしました。
それで実際に住んでみて思ったのは「暗い!」です。窓のサイズを小さくし、数も少なくすれば、当然入ってくる太陽光の量は減ります。当たり前の話なのですが、平面的な図面で考えているとなかなかそこまで考えが及びません。もちろん、一応は頭の中で「こんな感じで光が入ってくるだろうな」とイメージはしていました。が、実際に住んでみると「思ってたよりも暗い!」です。
プライバシーの観点からも、周りに住宅が多いなどの場合はやはり窓を小さくしたり減らしたりしたいと思うでしょうが、日中に取り込める光の量が少ないのは想像以上にストレスがありました。私は。部屋によっては昼間でも照明をつけないと読書するにはちょっと辛い暗さです。これは誤算でした。
1日の中の時間帯によっても入る光の量は刻々と変化します。また、周りの家の状況にも左右されます。後から想定外の建物が隣に建って、当初よりも採光量が減ってしまうかもしれません。
窓は取り返しがつかない(後から増やしたり大きくしたりできない)ので、慎重に考えましょう。
樹脂窓は必須か?
先述した通り、我が家ではYKKAPのAPW 430(樹脂サッシ+トリプルガラス)を採用しました。結論から言いますと「樹脂窓は必須!」です。冷暖房効率が上がりますし、冬のアルミサッシに発生するあの嫌な結露が発生しなくなるだけで、生活のQOLが上がります。カビも生えませんしね。アルミサッシはもう法律で禁止すべきじゃないかなと個人的には思います。
トリプルガラスについては、正直体感ではよく分かりません。以前住んでいたペアガラスと比べて格段に違いが出たかどうかは、数値上はハッキリ違うんでしょうけど、実感としてはよく分からないところです。トリプルだと重くもなりますから絶対にオススメとまでは言えませんが、まあ予算が許すならトリプルにしておいたほうが無難かとは思います。断熱性能が上がれば冷暖房費も抑えられますからね。
シングルガラスはさすがに論外なので、最低でも「樹脂サッシ+ペアガラス」、できれば「樹脂サッシ+トリプルガラス」を目指しましょう。
引き違い窓はダメか?
気密断熱についてよく調べている方であれば「引き違い窓は隙間が多い、すべり出し窓などはピッタリ閉まるから隙間が少ない」ということをご存知かと思います。
私はすべり出し窓も引き違い窓も両方採用しました。実際使ってみて分かったのは「最近の引き違い窓は昔のものとは全然違う」ということです。APW430やAPW431といった樹脂窓の高性能品は、引き違い窓であってもだいぶピタッとしていて、隙間が非常に少ないです。昔のアルミサッシの引き違い窓は、レールと窓との間とか、窓と窓の合わせ部など、パッと目視で見ても隙間だらけでしたよね? でもAPW430はぱっと見、ほとんど隙間がありません。密閉感があります。
窓を開けて外(特に下)を見るとか、窓の外側を掃除するとか、あらゆる場面において実用上は引き違い窓のほうが便利な点もけっこう多いです。気密断熱にこだわってすべり出し窓だけにすると不便な点も多いので、どの窓を採用するのかよくお考えになるといいと思います。私は個人的には「ここはすべり出し窓ではなく引き違い窓にしておけば良かったなぁ」と思う箇所がいくつもあります。
24時間換気のことも考えて窓を選ぶ
現在では住宅に24時間換気システムを設置することが義務化されています。多くの一般住宅は第三種換気システム(自然給気+排気ファン)を採用していることでしょう。我が家も第三種換気システムなのですが、これはその仕組み上、家の中の空気が負圧になります。
負圧ですので、玄関ドアや窓を(外側に向かって)開ける時にけっこうなパワーが必要です。つまり、この点でもすべり出し窓は不利になります。窓を開けるためにちょっと強めの力を掛けないといけないからです。もちろん苦労するほど強い力が必要なわけではないのですが、すべり出し窓のほうが開閉が楽なのは間違いないでしょう。
給気も排気もファンで行う第一種換気システムの場合は内外で気圧差がないので、このような問題は発生しないかと思います。高級な家は第一種換気システムであることが多いようです。ただ個人的には第一種換気システムにもそれはそれでデメリットもあるように感じたので、我が家では第三種換気システムを採用しました。
断熱材の種類にもこだわるべきか?
断熱について調べまくっていると、だんだん「断熱オタク」になってしまいます。そしてどんな断熱材を使うかにこだわりたくなってきます。普通、多くの人は断熱材の材料を何にするかまではあまり気にしないかと思います。しかし断熱オタクになるともう気になってしまって、こだわりたくなってしまうのです。少なくとも私はそうでした。
しかし。
「断熱材の種類にはそこまで厳密にこだわらなくていい」と今では思っています。
私が建てる時にこだわったのはセルロースファイバー。万が一の時に燃えにくい、吸音・防音性能が高い、などなど夢のような素材のように思えました。北海道では普通らしいですが、その他の地域ではあまりメジャーではないので、無駄に高い費用がかかります。それでも採用しました。実際住んでみて思ったのは「すごい防音性能は隙間ゼロの模型でのテストにおける話であって、実際の住宅ではいろいろ隙間があったり薄い部分があったりするからあまり防音効果は無い」というものでした。断熱性能はたぶんいいんだろうけど、他の断熱材でもより低コストで同じ性能を出せるものはいくらでもあります。
断熱材については目標とする断熱等級をクリアできる性能のものであればなんでもいい、と今では考えています。依頼する住宅メーカー・建築会社さん(そこで実際に作業している大工さん)が施工を得意としているものを使うのが一番無難だと思います。断熱材に何を使うかよりも、どれだけ上手に施工するか(どれだけ断熱欠損部をなくせるか)のほうが大事だと思いますので、慣れているものを使ってもらったほうが良い結果になる確率が高いかと思います。ノウハウが溜まっていますからね。
もちろん、中にはあまりにも古すぎる旧態依然とした建材・断熱材を使い続けている会社や職人さんもいますので、一応のチェックは必要ですが。
結局バランス
以下、結論です。
基本的には断熱等級6以上を目標としつつも、断熱にこだわりすぎて他の重要な部分を犠牲にしたり、本末転倒なことにならないよう、トータルバランスに注意しましょう!
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